岩崎琢のグレンラガンBGM解説
第10回 DISC2 No.21~25

グレンラガンの劇中を飾った数々のBGMが収録されたオリジナル・サウンドトラックがいよいよ発売になりました。
そこで、作曲を手がけた岩崎琢さん自身がサントラに収録された楽曲を毎週更新で全51曲すべてを解説いたします!

天元突破グレンラガン オリジナル・サウンドトラック
の詳細はこちら>> DVDCD情報

DISC1
第1回 No.1~5  第2回 No.6~10
第3回 No.11~15  第4回 No.16~20
第5回 No.21~26
DISC2
第6回 No.1~5  第7回 No.6~10
第8回 No.11~15  第9回 No.16~20
第10回 No.21~25  
天元突破グレンラガン オリジナル・サウンドトラック

21.The Blue monday e”r”ectrical parade

対ムガン戦のための曲。
Technoというと、基本は同じビートで同じグルーブの繰り返しなのだけれど、劇伴としてTechnoを扱う場合フロアで踊らせるための機能よりも、どうしても無理矢理音楽的に聴かせるとか、画の変化に合わせるための引っかかりをつけるという側面を強調しないといけない。ただ僕は、いわゆる「分かりやすいメロディー」というものを機械の音で奏することがあまり好きではないので、こういったスタイルの場合、何を主役として持ってくるかという事と、どうやって短いスパンで変化をさせ続けようか、、ということに腐心します。
21.The Blue monday e”r”ectrical parade


22.“Libera me”from hell

最初、この曲のオーダーは女性コーラスを入れて「最終決戦の音楽を…」みたいな事だったのですが、スキャット的なものや合唱っぽいものは、場所が宇宙なだけに記号的要素が強すぎて、アニメの隔離性を増長させてしまうのは目にみえているので、雰囲気だけで曖昧さを強調させるやり方は絶対に止めようと思ってました。
アニメの劇伴なんて、基本的には隔離されたフィクション以外の何物でもないものを要求されるものだけれども、だからこそ、その矮小な世界に留まらない様に現実の世界との接点、もしくはアニメの世界以外のコンテクストを持ち込むことによってRealな世界と隔絶されたものではない視点から、作品を照らすような音楽を作りたいと思い仕上げた楽曲です。
22.“Libera me”from hell


23.Love Conservative

正確にはConservative Love Songです。
「これでもか!」というぐらい、お涙頂戴を目指してみました(笑)
ひとしきり盛り上がって、ニアが消えていくとおぼしき部分から、かなりコーダを引っ張って曲が終わるのですが、実は、最後の結婚式のシークエンスで、どこまで音楽が流れるのか、オーダーが来た時点ではまだ分からなかったので、ちょっと長めに作ったのでした。
23.Love Conservative


24.お前の×××で天を…

Best Soundではピアノバージョン「お前の×××で…」を「お前の×××で天を衝け!!」の前奏のようにトラッキングしましたが、今回は趣向を変えました。
こちらの方が、自然につながるかなぁと思っているのですが… 。
24.お前の×××で天を…


25.お前の×××で天を衝け!!

実はこの曲はかなり記号的に作りました。
まず、曲全体はサッカーのサポートソングがベースになってます。
これにより、グレン団を一つのサッカーチームのように応援しようという意図がありました。そして、メロディーが出てきた際に裏で鳴っているアルペジオは、勿論「大いなる西部」から拝借しているのですが、これは、グレン団に荒野のならず者っぽい要素を加えたかったという事と、実はドリルの回転をサブリミナルに(でもないかな…)現しています。
時折、僕の大嫌いな「ツッパカパー」なフレーズが中間部のファンファーレを含めて何度か出てきますが、これは明らかに古めかしいお約束であり、もはやカリカチュアでしかない、けれどもこれこそが、たとえそうと分かっていても否応なく高揚してしまうという、一種倒錯感に似たメンタリティーの象徴なのです。
実はこの曲の別バージョンを、僕自身のベストアルバム「Selfconsciousness -岩崎琢劇伴音楽集-」に収録してます。ちょっと楽器を足してオリジナルより若干煌びやかにしました。
興味のある方は、是非(笑)
25.お前の×××で天を衝け!!
>> もどる